全3回連載|第2回 「不動産」と「介護」。まったく異なる経験が、なぜ一つにつながったのか
前回ご紹介した90歳のオーナー様への問題解決を考える中で、私はあることに気付きました。
これまで別々だと思っていた自分自身の実務経験が、一本につながったのです。
不動産では「物件と資産」を見てきました 。
私は、賃貸仲介・賃貸管理に携わり、都内エリアの責任者として店舗マネジメントも経験してきました。
その後、不動産流動化・証券化事業に従事し、約100億円規模の私募ファンドのアセットマネジメント・プロパティマネジメントを経験しました。
通常の賃貸管理とは、かなり異なる仕事です。
物件の収益性や資産価値を把握し、将来を予測しながら必要な対策を考える。
問題が起きてから対応するのではなく、
「この資産をどう守り、どう運用していくのか」
という視点で不動産を見る仕事でした。
この経験によって、私自身の不動産に対する見方は大きく変わりました。
介護では「物件」ではなく「人」を見ることになりました
その後、私はデイサービスを経営しました。
介護の現場で向き合うのは、一人ひとりの「人」です。
同じ年齢でも、身体の状態は違います。
認知機能も違います。
家族構成も、生活環境も、本人が望む暮らし方も違います。
そこで必要になるのは、
「この方にとって、どのような支援が必要なのか」
を個別に考えることです。
必要に応じてケアマネジャー、地域包括支援センター、担当医、ソーシャルワーカーなどが連携し、本人の状態や希望に合わせて支援を組み立てていきます。
この経験から私が学んだのは、
制度に人を合わせるのではなく、人に合わせて必要な支援を考える。
という視点でした。
不動産では、資産を守ることを考えてきました。
介護では、人を支えることを考えてきました。
90歳のオーナー様への提案を考えている時、
この二つは別々ではないことに気付きました。
オーナー様本人を支えなければ、賃貸経営も資産も守れない。
一方で、ご本人の生活だけを考えていても、所有する不動産の管理や資産承継が止まってしまえば、それも生活に影響します。
そこで、
「不動産資産を守る視点」と「高齢オーナーを支える視点」
を一つにする必要があると考えるようになりました。
高齢オーナーへの支援に「一本道」はありません
ここが重要です。
「高齢になったら家族信託をする。」
「身体が弱くなったら介護を利用する。」
という単純な話ではありません。
身体機能が低下していても判断能力には問題のない方。
身体は元気でも認知機能の低下が始まっている方。
突然の入院をきっかけに支援が必要になる方。
独居の方。
ご家族がいる方。
さらに、ご家族がいる場合でも、お子様が実際の意思決定に深く関わっているケースもあります。
必要な支援も、必要になる順番も一人ひとり違います。
だからこそ、最初から「この制度を使う」と決めるのではなく、まずその方の状況を知ることが重要なのです。
【今回のお役立ち情報】
「身体」と「認知機能」を分けて考えてみてください
将来への備えを考える時、まず二つに分けてみると整理しやすくなります。
身体機能について
物件へ行くことが負担になっていないか。
入居者対応や管理業務が大変になっていないか。
入退院が増えていないか。
日常生活に支援が必要になっていないか。
認知機能・財産管理について
将来、誰に財産管理を任せたいか。
賃貸経営を誰に引き継ぎたいか。
不動産を売却する必要が生じた時、誰が対応するのか。
資産を最終的に誰に引き継いでもらいたいか。
身体が元気だから、まだ何も考えなくてよいとは限りません。
反対に、身体機能が低下したからといって、すぐに財産管理の仕組みが必要になるとも限りません。
自分の場合は、何への備えを優先すべきなのか。
そこから考えることが大切です。
シニアサポートプランの商品化へ
こうして異なる実務経験を整理していくと、
賃貸管理、財産保全、介護支援を別々に考えるのではなく、オーナー様を中心に必要な支援を組み合わせる仕組みが必要だという答えにたどり着きました。
それが「シニアサポートプラン」です。
ただ、ここまで読まれた方の中には、
「では、具体的に何をしてくれるの?」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
最終回では、そこを具体的にお話しします。
次回
「何かあってから」では遅い。賃貸経営を止めないために今できること。
家族信託、任意後見、介護支援、賃貸管理。
なぜこれらを一つの窓口で考えるのか。
そして、シニアサポートプランでは実際に何を支援するのかをご紹介します。
第3回コラムはこちら
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