成年後見人がついた後、管理会社・オーナーが困ること
認知症などをきっかけに成年後見人が選任されると、賃貸経営は「これまで通り」には進まなくなります。
現場では、オーナー本人や管理会社に落ち度がなくても、判断が止まり、話が前に進まなくなるケースが少なくありません。
成年後見制度は、判断能力が低下した本人の財産や権利を守るための重要な制度です。
一方でその性質上、本人が元気なうちに考えていた経営方針や、家族が感じている現実的な判断が、経営に反映されにくいという側面があります。
成年後見人は「安全性」や「資産を減らさないこと」を最優先に判断する立場にあるため、賃貸経営に求められるスピード感や柔軟な意思決定とは、どうしてもズレが生じやすくなります。
この意思決定のズレそのものが、賃貸経営では大きなデメリットとして表れてきます。
特に、複数棟を所有している場合や築年数の経過した物件では、その影響がより顕著になります。
修繕や設備交換、募集条件の変更など、これまでであればオーナーと管理会社の判断で進められていた内容でも、成年後見人の確認・承認が必要になります。
少額の修繕であっても即断できず、「一度持ち帰ります」という場面が増えていきます。
賃貸管理の現場ではスピードが重要です。
判断が遅れることで、空室対策やクレーム対応が後手に回り、結果として物件評価や収益の低下につながることもあります。
成年後見人がついた後は、不動産の売却や建替え、借入を伴う工事について、家庭裁判所の関与が必要になるケースが多くなります。
「資産を減らさない」という原則が強く働くため、本人や家族が望んでいる場合であっても、将来の収益改善を目的とした判断は通りにくくなります。
市場環境や建築コストの変化に合わせた柔軟な経営判断ができず、
結果として「現状維持しか選べない」状態に陥ってしまうことも少なくありません。
成年後見人が関与すると、管理会社が積極的な改善提案をしても、結果的に通らない経験が重なることがあります。
そのため現場は慎重になり、新しい施策が出にくくなります。
また実務上よく見られるのが、家族の意向と成年後見人の判断が一致しないケースです。
家族は「今のうちに整理したい」「売却も検討したい」と考えていても、成年後見人は慎重姿勢を崩さず、話が進まないことがあります。
管理会社としても、どちらの意見を優先すべきか判断が難しく、結果として賃貸経営全体が停滞してしまいます。
成年後見制度は、本人を守るために不可欠な制度です。
しかし、賃貸経営のように本人や家族の意思を反映しながら、柔軟かつ迅速に判断する必要がある資産とは、必ずしも相性が良いとは言えません。
賃貸経営は、一度立ち止まると取り戻すのに時間がかかります。
修繕や募集条件の判断が遅れ、売却や再構築のタイミングを逃すことで、出口戦略が描けないまま資産価値が下がってしまうこともあります。
だからこそ、成年後見人がついてから慌てるのではなく、元気なうちに経営方針を整理し、「誰が・どこまで・何を決められるのか」を明確にしておくことが重要です。
早めに備えておくことで、オーナー自身の安心につながるだけでなく、家族や管理会社も無理のない形で賃貸運営を続けることができます。
成年後見制度が必要になる前に、ぜひ一度、郵宣企画までお気軽にご相談ください。
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