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家族信託で賃貸経営を止めない仕組みづくり

◾️後見制度では賃貸経営が止まってしまう現実

「認知症になっても、家族がどうにかしてくれる」
そう考えていたオーナー様が、判断能力を失った途端に賃貸経営が完全に止まってしまう。
現場では、このようなケースを数多く見てきました。

成年後見制度は、あくまでも財産保全を目的とした“守りの制度”です。
投資判断や相続対策など、積極的な運用が前提となる賃貸経営とは、本質的に相性の良い制度とはいえません。

例えば、築30年アパートの外壁が劣化し、早急な修繕が必要だったにもかかわらず、後見人が「高額で資産が減る」という理由で工事を認めなかったケースがあります。後見制度の趣旨からすれば妥当な判断ですが、その結果外壁の剝離が進行し、

  • 入居者の不安増大
  • 退去増加
  • 募集長期化
  • 家賃収入の減少

と、経営上は大きな損失につながりました。

さらに深刻なのは「日々の賃貸管理」が止まってしまう点です。
退去精算・契約締結・工事発注・保険更新など、オーナーの最終判断を要する場面は非常に多く、判断能力を失うだけで「誰も契約にサインできない」状態が発生します。

実際には、オーナーが急な体調悪化で判断力を失い、退去日が迫るのに精算ができず、入居者から強いクレームが入った例もあります。

また、相続税対策のために売却を検討していた物件も、後見開始後は後見人の方針で一切動かせなくなり、半年以上足止めになったケースも珍しくありません。
市場は日々変動するため、この“動けない期間”が大きな損失を生みます。

後見制度は否定すべきものではありませんが、賃貸経営においては制度上の限界があるというのが現実です。


◾️家族信託は賃貸経営を止めずに回し続けられる

家族信託は、オーナー様が元気なうちに信頼できる家族へ、不動産の管理・運用・処分の権限を託す仕組みです。
後見制度との最大の違いは、オーナーの意向に沿って積極的な判断を迅速に実行できる点にあります。

例えば、

  • 築古アパートを売却して相続税対策を行いたい
  • 家賃アップのために大規模リフォームをしたい

なども、契約に権限を盛り込んでおけば家族がそのまま実行できます。
後見制度では止められる内容でも、家族信託なら権限を事前に渡すことで、オーナーの方針をそのまま未来へ引き継げます。

日常の賃貸管理も止まりません。

  • 退去精算
  • 工事発注
  • 賃料管理
  • 新規契約
  • 保険更新

といった業務を、受託者(管理を任された家族)がスムーズに判断できます。
管理会社も「受託者の判断で処理」できるため、現場対応が早くなり、後見制度にありがちな

  • 許可待ちで業務が2週間止まる
  • 契約書に誰もサインできない

といったトラブルを避けられます。

また家族信託には、家族間の揉め事を予防する効果もあります。
兄弟が複数いるご家庭では、

  • 誰が管理を担当するのか
  • 売却するのか、しないのか

という点で必ず意見が割れます。
実際、兄弟3人が半年以上結論を出せず、経営が完全にストップした例もあります。

家族信託では、

  • 誰が管理者(受託者)なのか
  • 収益を誰が受け取るのか(受益者)
  • 売却権限の所在

が最初から契約で明確に決まるため、こうした混乱を防ぐことができます。


■ただし、家族信託は設計がすべて

制度そのものは非常に有効ですが、設計ミスによる失敗も少なくありません。

  • 売却権限を契約に入れ忘れ、相続対策が行えなかった
  • 所有物件の一部だけ信託し、名義や手続きが煩雑になった
  • 信託口口座ではなく、家賃入金が従来口座に入り続け混乱した

家族信託で最も重要なのは、オーナーの目的に合った設計ができているかどうかです。

家族信託は、認知症や判断能力低下があっても、賃貸経営を止めずに継続するための実務的な仕組みです。
後見制度は財産保護を目的とするため、スピードと柔軟性が求められる賃貸経営には制約が大きく、その結果、

  • 家賃収入
  • 資産価値
  • 家族の負担

に重大な影響が生じます。

一方で家族信託は、オーナー様の意向をそのまま家族が引き継いで経営を続けられるため、賃貸経営とは非常に相性がよい制度です。
特に複数物件を持つオーナー様や、相続対策を検討している方にとっては、早めの準備が大きな差を生みます。

賃貸経営が止まってからでは、解決に大きな負担とコストを伴います。
「今のうちに準備したい」「家族と一度話し合いたい」
そんな方は、ぜひお気軽にご相談ください。
オーナー様の状況にあわせ、最適な仕組みづくりを丁寧にサポートいたします。

この記事を書いた人

株式会社郵宣企画 髙木 正浩
大手不動産会社での賃貸仲介、賃貸管理、不動産流動化・不動産証券化(私募ファンド/規模100億円)、アセットマネジメント・プロパティマネジメントでの幅広い経験を生かし、多くの賃貸経営問題を解決。 現在は個人向けコンサルティングに注力し、家族信託や任意後見、介護支援を活用した業界初の高齢者向け賃貸経営支援「シニアサポートプラン」を開始。

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