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成年後見・任意後見制度の基本と、賃貸経営で注意すべきポイント

「認知症になったら、成年後見人をつければ大丈夫」
 そう思っていませんか?

確かに、判断能力が低下した方の財産を守る制度として「成年後見制度」は欠かせない仕組みです。しかし賃貸経営の現場では、この制度への過信や誤解が原因でトラブルになるケースが少なくありません。

「後見人がついたのに、手続きが全く進まない」
「売却したいのに、後見人が許可してくれない」

こうした声は決して珍しくありません。

今回は、成年後見制度・任意後見制度の基本と、賃貸経営に関わるオーナー様が特に注意すべきポイントを整理します。

◾️成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症や知的障害などにより判断能力が低下した人の財産を保護するため、家庭裁判所が後見人を選任し、財産管理や契約手続を代行・補助する制度です。

▼【成年後見制度のメリット】

  • 法律に基づき、財産をしっかり守ってもらえる
  • 不正な契約や詐欺被害を防げる
  • 生活費の管理や必要な支払いが滞らない
  • 家族間の金銭トラブルを防止できる

たとえば、急な判断力の低下があった場合でも、後見人が固定資産税の支払い、保険更新、入出金管理などを行うため、大きな混乱を防げます。

【デメリット(賃貸経営で問題になりやすい点)】

最大の特徴は、「本人の財産保全が最優先」であることです。

そのため後見人は、

  • リスクを伴う判断
  • 将来の収益を見込んだ投資
  • 相続対策を見据えた売却
    といった行為を基本的に行いません。

現場で実際に起きたトラブル

  • 築30年アパートの修繕が必要なのに、後見人が「高額」と判断して許可せず、空室が増えて収益悪化
  • 相続税対策で売却したかったのに後見人が承認せず、市場価格が下がった後に売却せざるを得なかった
  • 退去精算で即時判断が必要にもかかわらず後見人の確認に時間がかかり、入居者からクレームが入った。

このように、成年後見制度は安心の制度である反面、賃貸経営とは相性が悪い場面が多いのが実情です。

◾️任意後見制度とは?

任意後見制度は、本人が元気なうちに「誰に・何を任せるか」を契約で定めておき、将来判断能力が低下した時に発動する制度です。契約は公正証書で作成します。

【任意後見制度のメリット】

  • 信頼できる家族・関係者を後見人に指定できる
  • 任せたい範囲を細かく設定できる
  • 成年後見制度より柔軟に運用可能
  • 賃貸経営に必要な業務もあらかじめ盛り込める

例)
「家賃管理・修繕判断・支払いを家族に継続してもらいたい」
といった内容も契約に明記できます。

【デメリット(不動産オーナーに向かない理由)】

  1. 契約時に決めた範囲を後から変更できない
     → 売却・借入・建替えなどを契約に入れ忘れると、いざ必要な時に動けない。
  2. 揉める可能性があると家庭裁判所が認めないことがある
     → 兄弟間の対立、財産規模が大きい場合などは家族後見が不許可になる例も多い。
  3. 任意後見監督人の選任が必要で、年間2030万円の費用がかかる
     → 長期間になるほど負担が増える。
  4. 積極的な資産運用は難しい
     → 成年後見ほど厳格ではないが、節税・建替え・再投資などには慎重にならざるを得ない。

よくある現場でのトラブル

  • 契約内容に「売却権限」を入れておらず、相続税対策が完全に止まった
  • 監督人の判断でリフォーム費用が認められず、空室が長期化
  • 兄弟・親族間の意見対立により契約そのものが家庭裁判所で不認可

任意後見制度は柔軟ですが、不動産を持つオーナーにとっては
「思った通りに資産を動かせない可能性が高い」点を理解しておく必要があります。

◾️将来の選択肢を狭めない準備を

成年後見・任意後見はいずれも財産保護に役立つ制度ですが、
賃貸経営という“事業”を抱えるオーナー様の場合、
後見制度だけでは希望通りに進められないケースが非常に多く見られます。

認知症発症後に制度を使おうとしても、

  • 売れない
  • 貸せない
  • 修繕できない
  • 家族が動けない

といった壁に阻まれ、結果的に資産が目減りしたり、家族が苦労する場面を何度も見てきました。

だからこそ、元気なうちに
「自分の意思で賃貸経営を続けられる仕組み」を準備することが最善策です。

そして、不動産を所有する方にとっては、
後見制度だけでなく 「家族信託」 という選択肢も大変有効です。

次回は、なぜ家族信託が不動産オーナーに向いているのかを詳しく解説します。

この記事を書いた人

株式会社郵宣企画 髙木 正浩
大手不動産会社での賃貸仲介、賃貸管理、不動産流動化・不動産証券化(私募ファンド/規模100億円)、アセットマネジメント・プロパティマネジメントでの幅広い経験を生かし、多くの賃貸経営問題を解決。 現在は個人向けコンサルティングに注力し、家族信託や任意後見、介護支援を活用した業界初の高齢者向け賃貸経営支援「シニアサポートプラン」を開始。

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